Gradle 4系・5系のリリース一覧と最終安定版

Gradle 4系は2017年6月から2018年12月まで、5系は2018年11月から2019年11月までリリースされました。4系の最終安定版は4.10.3(2018年12月5日リリース)、5系の最終安定版は5.6.4(2019年11月1日リリース)です。いずれも現在は公式サポートが終了しています。

Gradle 4系のリリース履歴

Gradle 4系は2017年6月14日の4.0リリースに始まり、約1年半にわたって更新が続きました。4.0から4.10までメジャーマイナーアップデートが重ねられ、各バージョンにパッチリリースが提供されています。4.10系では4.10.1、4.10.2、4.10.3と3回のパッチが公開され、4.10.3が4系最後のリリースとなりました。

4系はJava 8のサポートを確立し、ビルドキャッシュやKotlin DSLの試験導入など、後のGradleの基盤となる機能が多く追加された世代です。(出典:Gradle「Releases」)

Gradle 5系のリリース履歴

Gradle 5系は2018年11月23日の5.0リリースから始まり、2019年11月1日の5.6.4まで更新されました。5.0ではJava 8以上が実行要件となり、compile/runtimeスコープの分離やタスク定義構文の変更など、多くの破壊的変更が含まれています。5.1から5.6まで各マイナーバージョンにパッチが提供され、5.6系は5.6.1、5.6.2、5.6.3、5.6.4と4回のパッチリリースが行われました。5.6.4が5系の事実上の完成形です。(出典:Gradle「Releases」)

サポート終了状況と選び方

Gradle 4系・5系はともに公式サポートが終了しており、セキュリティパッチやバグ修正は提供されません。確認できる範囲では、Gradle 5系のセキュリティフィックス終了は2021年4月9日とされています。旧バージョンが必要な場合は、各系列の最終安定版である4.10.3または5.6.4を選ぶのが最も安全です。

新規プロジェクトでは現行のGradle 9.x系を使用してください。(出典:VersionLog「Gradle 5」)

要点:4系は4.10.3、5系は5.6.4が最終安定版。いずれもサポート終了済みで、旧バージョンを使う場合も各系列の最終版を選ぶこと。

過去バージョンをダウンロードする3つの公式方法

Gradleの過去バージョンは、公式サイトから3つの方法で入手できます。最も手軽なのはGradle公式Releasesページからのダウンロードで、4系・5系を含むすべての過去バージョンが一覧で確認できます。いずれの方法も公式に提供されている手段です。

方法1:公式Releasesページからダウンロード

Gradle公式サイトのReleasesページ(gradle.org/releases/)では、全バージョンのバイナリZIPとリファレンスドキュメントへのリンクが提供されています。ページ内から目的のバージョンを探し、ZIPファイルをダウンロードします。

バイナリには実行に必要なファイルのみを含む-bin.zipと、ソースやドキュメントを含む-all.zipの2種類があります。通常の利用では-bin.zipで十分です。

方法2:services.gradle.orgから直接ダウンロード

Gradleの公式配布サーバーであるservices.gradle.orgから、URLを指定して直接ZIPをダウンロードできます。URLの形式はhttps://services.gradle.org/distributions/gradle-バージョン-bin.zipです。

例えば4.10.3ならgradle-4.10.3-bin.zip、5.6.4ならgradle-5.6.4-bin.zipとなります。このURL形式はGradle WrapperのdistributionUrlにも使われる公式の配布経路です。

方法3:Gradle Wrapperでバージョン指定

既存のGradleプロジェクト内で./gradlew wrapper --gradle-version 5.0のようにコマンドを実行すると、指定したバージョンにWrapperを更新できます。また、gradle/wrapper/gradle-wrapper.propertiesdistributionUrlを手動で編集する方法もあります。

Wrapperを使うとプロジェクトごとにGradleバージョンを固定でき、チーム内で同じバージョンを使用できます。(出典:Gradle「Gradle Wrapper Basics」)

要点:公式Releasesページ、services.gradle.orgの直接URL、Gradle Wrapperの3つが公式な入手方法。ダウンロード自体は可能だが、旧版の本番利用は非推奨。

Gradle 4系・5系で動作するJavaバージョンの制約

Gradle 4系・5系は、実行できるJavaバージョンに厳しい上限があります。Gradle 4.10.xは最大Java 10まで、Gradle 5.6.4は最大Java 12までしかサポートしていません。2026年現在の標準的なJava 17以上の環境では、そのまま実行することはできません。(出典:Gradle「Compatibility Matrix」)

Gradleの実行環境としてサポートされるJava

Gradle公式のCompatibility Matrixによると、Gradle本体を実行するために必要なJavaバージョンは以下の通りです。4.0〜4.2.xはJava 8、4.3〜4.6はJava 8〜9、4.7〜4.10.xはJava 8〜10、5.0〜5.3.xはJava 8〜11、5.4以降はJava 8〜12となっています。

Gradle 5.0からはJava 8以上が必須となり、Java 7ではGradle本体を起動できなくなりました。(出典:Gradle「Compatibility Matrix」)

Gradleバージョン 実行に必要なJava 最大サポートJava
4.0〜4.2.x Java 8 Java 8
4.3〜4.6 Java 8 Java 9
4.7〜4.10.x Java 8 Java 10
5.0〜5.3.x Java 8 Java 11
5.4〜5.6.4 Java 8 Java 12

コンパイル対象Javaとの違い

Gradleの実行環境と、プロジェクトのコンパイル・テスト対象のJavaバージョンは別物です。古いGradleでも、フォークコンパイルやテスト実行を使えば、より古いJava向けのコードをコンパイル・テストできます。Gradle 5.0の時点でも、テストはJava 6または7で実行可能でした。混同しないように注意が必要です。

現代の環境で旧Gradleを使う場合の注意

2026年時点の一般的な開発環境であるJava 17以上では、Gradle 4系・5系は起動できません。旧バージョンを使うには、対応する古いJavaを別途インストールする必要があります。

GradleにはJava Toolchainsという仕組みがあり、現在のGradleでは実行環境とコンパイル環境を分離できますが、4系・5系の時代にはこの仕組みはまだ導入されていませんでした。実用上は、旧Gradleを使い続けるよりも移行を検討する方が現実的です。(出典:Gradle「Compatibility Matrix」)

要点:Gradle 4.10.xはJava 10まで、5.6.4はJava 12まで。Java 17以上の環境では動作しないため、対応する古いJavaの用意が必要。

Gradle 4.xから5.0へのアップグレードで注意すべき変更点

Gradle 4.xから5.0へのアップグレードには、多数の破壊的変更が含まれています。公式は一気に5.0へ上げるのではなく、まず4.10.3にアップグレードし、非推奨警告を確認してから移行することを推奨しています。単にWrapperのバージョンを変えるだけでは完了しません。(出典:Gradle「Upgrading your build from Gradle 4.x to 5.0」)

タスク定義構文の変更と組み込みタスクの制限

Gradle 5.0では、task myTask << { ... }という従来の構文が使えなくなりました。代わりにtask myTask { doLast { ... } }の形式を使用します。

また、wrapperhelpなど特定の組み込みタスクを独自に置き換える定義は4.8で非推奨化され、5.0でエラーになります。特にtask wrapper(type: Wrapper)の記述がある場合は、wrapper { gradleVersion = '...' }への変更が必要です。

compile/runtimeスコープの分離

Gradle 5.0では、Javaプラグインの依存関係においてコンパイルクラスパスとランタイムクラスパスが分離されました。これにより、compile設定を使った従来の記述から、implementationapiを適切に使い分ける必要があります。

コンパイル時のみ必要なライブラリはimplementation、公開APIとして外部に公開するライブラリはapiを使用します。この変更は依存関係の解決方法に大きく影響します。

Configuration Avoidance APIとその他の変更

Gradle 4.9で導入されたConfiguration Avoidance APIが5.0でより推奨され、tasks.create()よりもtasks.register()の使用が推奨されるようになりました。

また、publishing {}ブロックの評価タイミングが変更され、遅延評価されず通常のブロックとして評価されます。さらに、-Dtest.singleオプションの削除や--debug-jvmへの置き換えなど、コマンドラインオプションの変更も行われました。(出典:Gradle「Upgrading your build from Gradle 4.x to 5.0」)

要点:4.x→5.0は段階的に移行するのが鉄則。タスク定義構文の変更、implementation/apiの使い分け、wrapperタスク定義の書き換えに特に注意。

古いGradleを使う際のリスクと最新版への移行手順

Gradle 4系・5系はサポート終了済みで、セキュリティパッチが提供されないことが最大のリスクです。2026年8月時点の最新安定版はGradle 9.6.1で、公式は最新版へのアップグレードを推奨しています。旧バージョンの継続利用は、既存プロジェクトの一時的な動作確認に限定すべきです。(出典:Gradle「Gradle 9.6.1 Release Notes」)

古いGradleを使い続けるリスク

サポート終了済みのGradleには、既知の脆弱性があっても修正パッチが提供されません。また、現代のJavaバージョンでは動作しないため、古いJava環境を維持する必要が生じます。

古いJavaにも同様のセキュリティリスクがあるため、旧Gradleと古いJavaの組み合わせは二重のリスクを抱えることになります。さらに、新しいライブラリやプラグインが古いGradleに対応しなくなる問題もあります。

段階的な移行手順

Gradle公式が推奨するアップグレード手順は、段階的にバージョンを上げていく方法です。以下の手順で進めます。

  1. 現在のバージョンを./gradlew --versionで確認する
  2. 現在の系列の最終パッチ版(例:4.xなら4.10.3)にアップグレードする
  3. gradle help --warning-mode=allで非推奨警告を確認する
  4. 警告に基づいてビルドスクリプトとプラグインを修正する
  5. 警告がゼロになったら次のメジャーバージョンへ移行する
  6. この手順を繰り返して最新版まで到達する

移行時に確認すべきチェック項目

移行作業では、以下の項目を重点的に確認します。

  • タスク定義の構文が<<を使っていないか
  • compile設定がimplementationまたはapiに置き換えられているか
  • task wrapper(type: Wrapper)の記述が残っていないか
  • 組み込みタスク名を上書きしていないか
  • プラグインが新しいGradleに対応したバージョンに更新されているか
  • publishing {}ブロックの評価タイミング変更の影響がないか

移行は一度にすべて行うのではなく、各段階でビルドが成功することを確認しながら進めるのが安全です。(出典:Gradle「Upgrading your build from Gradle 4.x to 5.0」)

要点:古いGradleの継続利用はセキュリティリスクが高い。段階的にバージョンを上げ、各段階で非推奨警告をゼロにしてから次へ進むこと。